鉄道会社による車椅子ご案内 待ち時間についての考察

車椅子用スペース(イメージ写真)

先日、インターネットメディアのwithnewsが「早くして」車いすユーザーの言葉に葛藤 鉄道会社、支援のリアルという記事を発信しています。まずはその記事を合わせて読んでもらうと良いでしょう。

withnewsの記事では、大まかな内容は車椅子利用者から駅員に「早くして」などと言われて葛藤してしまうとの内容の記事。
しかし記事の内容には記事の著者や鉄道会社の考え方が一歩的に書かれていて、車椅子利用者側から見ると一部納得いかない点も見られますので、このブログ記事にしてみました。

実際にJR東日本さんだけ特に遅い

記事内ではJR東日本の駅員の話として、降車駅に依頼をして安全を確保をして十分な態勢を取るために結果的にお待たせしてしまうと書かれている。

しかし東京圏の路線に限っては、ある私鉄の路線では改札口で声を掛けてから(ダイヤが乱れていない限り)必ず5分~10分前後以内で電車に乗れる路線も多くあります。地下鉄でもエレベーターのある駅なら同様です。

しかし、JR東日本の場合は違います。特に東京駅や新宿駅のような大きなターミナル駅において、改札口で声を掛けてから担当の係員さんが来るまで、20~30分前後待つことが多々あります。
そして、係員と一緒にホームに移動後にさらにホーム上で5~10分程度待つ場合もあります。そのため実際の乗車まで30分以上掛かることがあります。

その際、多くの係員・駅員は「大変お待たせしました」と言ってくれますが、中には何も言わない方もいます。そのような係員には、記事のような「早くしろ」と言いたくなる気持ちは正直分かります。
(※自分はそう言うことはもちろん無いですよ。)

自分は多少の時間は待つのは仕方ないと思っていますが、安全も確保しつつ必ず10分程度で乗れるように頑張っている鉄道会社さんが多い中、30分以上待たなければいけない駅が存在するのは東京圏ではJR東日本さんだけです。
安全確保などの理由は重々分かりますが、利用客も日本国内で一番多い鉄道会社です。介助人員の増員などJR東日本さんには少し頑張って欲しい所だと思っています。

なお、JR東日本の駅でも利用客が少なめの郊外の駅では、10分~15分前後以内で乗れる場合が多いです。

ちなみに、「ありがとう」を言わない車椅子の人がむかつくみたいなコメントがネット上で見られますが。前述のように、5~10分程度で迅速に乗せてくれると「ありがとう」とこちらも気持ちよく言えますが。30分以上待ったときにはさてどうでしょうか? 無言で立ち去りたい気持ちも分かります。
(※自分は待ち時間関係無くお礼を言うようにしています。)

一人で乗り込む客

記事内で一人で乗り込む客に困惑とも書かれています。これに関しては、最近の新型車両では段差が小さくなったこともあり一部のアクティブな車椅子ユーザーだと一人でも乗れる場合もあるでしょう。

改札口で声を掛けない車椅子ユーザーは基本的に介助不要という認識で乗っているはずです。このような車椅子利用者に対しては特に連絡などの対応は不要でしょう。いわゆる自己責任です。

国は単独乗降可能を目指す

ホームと車両間の段差や隙間は、「移動円滑化基準」及び「鉄道技術基準の解釈基準」において、段差はできる限り平らであること、隙間はできる限り小さいものであることと規定されています。
しかし、現在は一部の路線(大江戸線やゆりかもめなど)を除いて段差や隙間があるのが実情です。

そのため国ではオリンピック・パラリンピックを契機として介助無しで単独乗降可能が望まれるとしています。昨年より始まった検討会にはJR東日本を初めとする各鉄道会社が参加していますので、今後の動向に期待したいところです。

鉄道駅におけるプラットホームと車両乗降口の段差・隙間に関する検討会(国交省HP)
http://www.mlit.go.jp/tetudo/tetudo_fr7_000024.html

大江戸線スロープ
大江戸線スロープ

ちなみに、都営大江戸線では写真のようにホームと車両の段差が解消されていて駅員の介助が不要となっていて、車椅子ユーザーには好評となっています。
バリアフリー化されて介助不要になれば、車椅子利用者の利便性も上がり介助要員の削減により人件費も減ることになり一石二鳥になるのです。

しかし、ハード面での解決にはしばらくは難しそうですから、待ち時間が長めな混雑する駅では駅員の増員というソフト面での対応が望ましいでしょう。

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