駅へ事前連絡は必要? 車椅子乗車拒否問題について述べてみる

2021/04/07

さて、皆様御無沙汰していました。最近は、ブログの更新を少々放置してしまいましたが。ぼちぼち更新を再開したいと思いますので、今後もよろしくお願いします。

今回は、昨日よりインターネット上で話題になってる、「JR線の車椅子乗車拒否問題」について。いち車椅子ユーザーとして、いろいろ述べたい点もあるので記事にします。

どんな問題だったのか

詳しくは当該者が書かれてる文章を読んでもらうことにして。

問題になってる車椅子利用者は、小田原駅から熱海乗り換えで来宮駅まで移動したかったそう。
小田原駅と熱海駅にはエレベーターがありますが、来宮駅には階段のみでエレベーターやスロープはありません。
この方は、事前に駅構内図は見ていたものの、階段(段差)が無いと勝手に思い込んだ模様です。
JR東日本は、他のJRとは違ってローカル線も含めた全駅に分りやすい駅構内図をHPに載せてる良心的な会社なのに、なぜ階段が無いと思い込んだのかは謎な点です。

案の定、小田原駅では階段のみだと告げられて熱海駅までの利用を勧められたようですが、「駅員を4人集めて階段を持ち上げて」と言ったそう。

とは言っても、当日いきなりそう言われてもJR側も人手不足で難しい場合もあるでしょう。案の定断られてしまったようです。
その後、熱海駅に向かい急遽手配された駅員により来宮駅までは行くことが出来たそうですが、数々の指摘したい点があります。

(指摘その1)タクシーは予約するのに、駅には連絡しない?

駅員に代替手段としてタクシーが勧められました。でも、本人は「車椅子用のタクシーは1ヶ月前の予約だよ。当日だと厳しいじゃ?」と書かれています。

それは、タクシー会社だけではなく鉄道会社だって同じです。

エレベーターがある駅ならともかく、階段しか無い無人駅です。出来ることなら当日来訪でも対応するのが望ましいと思いますが、現実的には厳しい点もあるでしょう。
今回は熱海駅という大きなターミナル駅の近くだったので最終的には人員を確保してますが、これがもっと田舎のローカル線だと当日の人員確保は不可能だったでしょう。

さらに、タクシーの予約が1ヶ月前と言うのはオーバーな発言で、1週間から2~3日程度前の予約でも十分です。それは、駅でも同じです。

(指摘その2)駅には連絡しないのにマスコミには即刻連絡?

来宮駅が階段しか無いと分った途端、駅との交渉中の間にもマスコミに連絡を入れ、既に本人は取材を受けたそうだ。
そもそも、マスコミの連絡先を知ってる時点で、一般市民の車椅子利用者では無い。SNS上によれば、この方は10年前にも同様な事案でトラブルを起こし新聞記事になってるようだ。さらに、某政党の関係者だそうだ。
自分含む大多数のごく一般市民の車椅子ユーザーと同じにして欲しくない点だけ、健常者の皆様にもお伝えしたい。

(指摘その3)My渡し板を所持していた?

現在は、記事が削除されてしまったようなので、ウェブアーカイブより引用しましたが。
どうやら、携帯用スロープ(渡し板)を所有していたようなのです。

確かに、車椅子ユーザーの中にはMy渡し板を持ってる人はいますので、その点はおかしくないのですが。

仮に、この事例があった日も持っていたとしたらです。小田原駅や熱海駅はエレベーターがあるんだから、ヘルパーの介助とMy渡し板で来宮駅までたどり着くことが可能なんです。
この場合、来宮駅に到着して初めて階段のみと気づくことになります。

なので、小田原駅の時点で駅員に依頼してると言うことは来宮駅は階段のみだと知っていて行動した、もしくはせっかく購入したスロープを持ってきていなかったのどちらかになります。

事前連絡をするメリットは

事前連絡をするメリットは、階段しか無い無人駅を円滑に利用するためです。
本来なら健常者同じように連絡無しで乗れるのが望ましいことですが、連絡しておけば今回みたいに予定より1時間遅れずに移動可能だったでしょう。

しかも今回は旅行だったようなので事前に日程はある程度決まってるでしょう。少なくても前日、当日の朝一番でも連絡しておくと待ち時間も無く希望通りの列車で移動できたでしょう。事前連絡は本人のためにもなるのです。

バリアフリー整備基準は引き下げられたけど

駅のエレベーター(イメージ)

今年4月から、改正バリアフリー法が施行されました。

この中で従来、乗降人数3000人以上の駅にエレベーターなどの段差解消を求めていたところを。
乗降人数2000~3000人の基本構想に位置付けられた旅客施設等の駅に改定されました。

これで、地方部でもさらにバリアフリーが広がりそう・・と思いますが。
基本構想って自治体が作るんですが、現在でも都市部の市町村でも作成していない所もあり、田舎で基本構想を作ってる所ってあんまないんです。正直、この基準で新たなエレベーター整備が進むのか疑問な所もあったりします。

従来通り、乗降人数のみの基準で整備を進めると良いのに。

ちなみに、今回問題になった来宮駅は乗降人数にすると約2200人ほどなので。(乗車人員1133人 降車客含まず・2013年度)
熱海市が基本構想に位置づければ、エレベーター設置の新基準に満たすことになります。

情報発信は大事だけどさ・・ まとめ

「乗車拒否された~」とSNS上に情報発信するのも正直、良い面も悪い面もあるでしょう。

悪い面としては、そもそも事前連絡をしたり事前に駅の状況を調べている、大多数の良心的にな一般車椅子利用者まで同類に見られてしまう点でしょう。

良い面としては、情報発信の仕方は少々悪質だとは思いますが、将来の改善に繋がることでしょうか。
昭和の時代に、先代の障害者の方が騒いでたおかげで、現代は多くの駅でエレベーターが整備されて、自分含めた多くの車椅子利用者が鉄道でスムーズに移動が可能になったことでしょう。
最近の、れいわ新選組の新幹線車椅子席問題もそうなんですが。確かにある程度、大きく騒がないと改善方向に向かわないのは事実なんで。そこは残念な世の中ですが。

障害者差別解消法で合理的配慮なんて言われてますが、事業者側・当事者側がお互いに歩み寄ることも必要だと思います。

そして、いろいろなやりとりはあったとは言え。最終的には目的地まで行くことが出来てるので。乗車拒否には当たらないと考えられます。

最後に。健常者の中に一定数変な人がいるのと同じで、障害者の中にも一部変な人が存在しています。
今回の人以外にも。似たような事例で、昨年にも車椅子YouTuberが炎上していますよね。

車椅子利用者全員が今回のようなクレーマー的な人ではありませんのでと付け加えておきます。

ちなみに、駅員から渡された電話番号が、通常の連絡先である総合のお問い合わせセンター(24時まで受付)じゃなくて、ご意見承りセンター(17時まで)の番号なのが少し笑ってしまいました(笑)。駅員氏の細やかな抵抗だったのかな(笑)

(2021/04/07)一部加筆しています。

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